[第4回]結成20年目raVen会長に訊く 草野球チームのつくり方とは!?

草野球チームのつくり方 | 2016年10月27日

草野球チーム運営 その裏には。。。

一頃に比べて人気が落ちた、あるいは競技人口が減少したといわれる野球だが、グラウンドでは毎週末になると楽しく白球を追う老若男女の姿が全国各地で見受けられる。
とりわけ草野球は、野球経験者・未経験者、上手い・下手関係なく、誰もが気軽に参加できる「大人たちのコミュニティの場」ともいえる。
が、その一方でチームの運営や、または育成のために、マネージャー、あるいは監督などのスタッフたちはは、水面下では日夜たいへんな仕事をこなしているのも事実だ。
試合ができるだけの人数の確保、あるいはグラウンドの確保、部費の徴収・管理などの経理業務、そしてチーム力向上のためのメンバー増強や育成など、各チームのチーム運営やチーム作りの舞台裏にスポットを当て、シリーズで伝えていく「シリーズ 草野球のチーム作りとは!?」。

4回目の今回は、チーム結成なんと20年というraVens選手権会長である猫壱氏に、チーム作りをする上でこれまで腐心されてきたことやエピソード、考え方などについて訊いてみた。

raVens会長 猫壱氏に直撃インタビュー チーム作りのコツとは?

Q.結成年はいつか?

今から20年前の1996年で、その年の10月に活動を開始した。


Q.野球チームをつくるきっかけは?

チーム発足前に、発足後キャプテン、監督となる2人が「野球のユニフォームを着たい」との密談を交わして作ることになった。そして、キャプテンが「R」から始まるチーム名にしたいと言うので、監督が英語辞書をめくって、適当に「R」がつく単語を探したら「Raven」というのが出てきたが、当時全然英語が得意じゃなかった2人は、これがなんて読むのか分からなかったようで、発音記号を適当に解釈して「レイバン」とした。それに「S」をつけて、本当は「レイバンズ」だと思うが、語呂的に「ス」のほうがしっくりきたので「レイバンス」にした。あとで意味を調べたら「不吉な兆し」とかいう意味があることがわかったが、「まあ、いいか」ということになった。詳しくは、http://www.ravens.x0.com/fan.htmlで(笑)


Q.存続の危機に陥った年はあったか?またそれは何年目で、どんな理由だったか?

稀代の大スターと比較するのもおこがましいが、かのサザンオールスターズもデビューから数年目に解散の危機があったと聞いている。ご多分に漏れず我がチームも空中分解の危機はあった。99年頃だが、当時はエースといえる投手もいなくて、あまりにも弱かったこと理由だった。当時はインターネットも今ほど普及しておらず相手チームの情報も少ないながらも、ようやく対戦相手を探すのだが、とにかく見つけるのがたいへんだった。それで、いざ対戦してみたら強くて歯がたたない。そんなことを繰り返しているうちに、どんどん選手のモチベーションも下がっていった。


Q.存続の危機を乗り越えられた理由は?

2002年頃に有力な選手が芋づる式に入ってきた。後に史上初の3年連続二桁勝利をあげることになる坂野、主砲の青原らが入団してきた。なぜ立て続けに有力選手が入ってきたのかは分からないが、「野球を続けろ」という神のお告げかと(笑) ただ不思議なもので2008年頃にも危機はあったが、3年前には現在のエースである山田や主砲の佐藤が入団してきて、再度チームとして盛り上がりを見せて、今に至っている。本当に不思議な縁を感じる。


Q.メンバー編成のコツは?

コツなどまったくない(笑) もう、とにかく人を集めるので必死なだけ。結成当時、会社のメンバーやそれに関係した人たちが集まったが、同じ業界の連中は甘えるというか、いい加減な連中が集まる業界というのもあるのか、結局「なあなあな感じ」になるときもあった。でも、現在はインターネットのおかげで同業種以外からも人は集めらるし、何よりも入団した選手が友人を連れて来てくれて新たに選手に加わったりと、だんだん横に拡がっていった感じだ。そういった意味では選手たちには感謝している。


Q.長く続けられるチームをつくるために大事なことは?

気がついたら20年経ったという感じなのでよくわからないが、基本的に野球が好きだったということだと思う。野球自体もそうだが、自分のオアシスというか、逃げ場所?(笑) そういった秘密基地みたいな場所があることが嬉しくて、その場所を守りたいがためにやってきたらいつの間にか20年が経っていたっていう感じだ。


Q.これから草野球チームを作ろうとしている方にアドバイスするとしたら?

とにかく楽しむこと。野球自体は楽しい・深いことはみんなが知っていることだが、プレーから少し離れたところで楽しめるような工夫をしてみるとよいと思う。例えばチームを作った当初、諸先輩に面白い方がいて、試合毎に「新聞」を作っていた人がいた。審判の名前もスコアの横に書き入れたりなどもしていた。またホームページがない時代だから紙だけど、でもその紙の中身そのものが面白かった。そういったものを選手が読むと「次もがんばろう」っていう気になる。
また「前のチームでは年始に選手1人1人の年俸を決めていた」という人がいて、それは面白そうだと思って早速導入し、それは今でも続けている。ちなみに興味のある人は、こちらのホームページから(笑)http://www.ravens.x0.com/mem/mem1.htmlなんか宣伝ばかりになってしまったが、とにかくなんでもいいから野球のプレーだけでなく、それ以外でも遊び心を発揮して、もっと楽しんでみてほしいと思う。

「楽しむ」、「楽しむ」、とにかく「楽しむ」 草野球の本質を掴んでいるraVens代表 猫壱氏のあくなき遊び心とサービス精神

これまで同じくチームを運営する立場の代表者へインタビューを行い、それぞれのチーム作りに対する考え方に触れてきた。しかしその裏側は思ったよりたいへんな仕事であり、気苦労が絶えないものであるという印象だったが、今回のraVens 猫壱氏のインタビューからは、そういった「たいへんさ」や「難しさ」、そして「悲壮感」みたいなものは微塵も感じられなかった。むしろ「それらをも全て楽しんでしまえ」という心意気さえ感じる。

確かに野球は野球のプレーそのものや勝ち負けだけではなく、いろいろな側面がある。猫壱氏のインタビューにも例えとしてでてきた、新聞や年俸制の話なども、好奇心旺盛がゆえのこと。直接的には野球に関係なくとも、野球に関連づけて楽しむポイントを探し出し、創造していこう、参加者に楽しんでもらおうという「遊び心」と「サービス精神」が何より素晴らしいと感じる。

そして一番は、自分自身が楽しむことが何よりも大切だということを彼はよくわかっているように思う。今後もいろいろなアイディアを出して、参加者がより楽しめる環境を作っていってほしいとものだ。

またインタビューにもあった、突然有力な選手が集まり出したことに対し「野球を続けろという神のお告げか」というコメントがあったが、楽しくやっている人のところには人も神(運・チャンス)も集まり出すものだ。

神をも味方につけた猫壱氏が代表を務めるチームであるからこそ20年も続けてこられたのだと思う。草野球の本質であり、原点である「楽しむ」ということを運営やチーム作りの中にも見出して実践してきた彼の大きな功績といえよう。このチームがよき伝統を継承しつつ、さらに30年、40年と続いていけるよう願ってやまない。

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