[第1回]結成13年目シェイカーズ監督に訊く 草野球チームのつくり方とは!?

草野球チームのつくり方 | 2016年5月9日

草野球チーム運営 その裏には。。。

一頃に比べて人気が落ちた、あるいは競技人口が減少したといわれる野球だが、グラウンドでは毎週末になると楽しく白球を追う老若男女の姿が全国各地で見受けられる。
とりわけ草野球は、野球経験者・未経験者、上手い・下手関係なく、誰もが気軽に参加できる「大人たちのコミュニティの場」ともいえる。
が、その一方でチームの運営や、または育成のために、マネージャー、あるいは監督などのスタッフたちはは、水面下では日夜たいへんな仕事をこなしているのも事実だ。
試合ができるだけの人数の確保、あるいはグラウンドの確保、部費の徴収・管理などの経理業務、そしてチーム力向上のためのメンバー増強や育成など、各チームのチーム運営やチーム作りの舞台裏にスポットを当て、シリーズで伝えていく「シリーズ 草野球のチーム作りとは!?」。
1回目の今回は、チーム結成以来13年と長きにわたって運営し、チーム作りに試行錯誤を重ねてきたシェイカーズの監督兼キャプテン兼選手でもある加藤和義氏に、チーム作りをする上でこれまで腐心されてきたことやエピソード、考え方などについて訊いてみた。

シェイカーズ監督 加藤氏に直撃インタビュー チーム作りのコツとは?

Q.チームを結成したのはいつか?

2002年11月で、結成してから13年と6ヶ月が経った。


Q.チームを結成したきっかけは?

私自身、小学校から高校(軟式)まで野球部に所属し、社会人になっても野球がしたくて、会社の仲間たちでメンバーで作った。
結成当初は現在のチーム名ではなく、当時は会社のメンバーだけだったが、今は会社に限らず、社外の人も加入している。


Q.存続の危機に陥ったことなどはあったか? またそれはいつ頃で、原因は何か?

2~3年位前に、地元の公式戦のウォーミングアップ中に腰を痛めて途中交代したことがあった。
私はピッチャーをしていたのだが、当時控え投手がおらず、チームは負けてしまった。
以来しばらくの間療養せざるをえず、やむなく活動を休止した。
年間で5試合くらいしかできずに終わり、正直当時はかなり危機感を感じていた。


Q.存続の危機を乗り越えられた理由は何か?

このまま野球人生が終わるのは嫌だったし、もともと慢性的な腰椎椎間板ヘルニアだったが、治療を続けながらでも野球を続けたいという強い思いがあった。
また自分一人の都合でチームの活動が滞り、他のメンバーに迷惑かけてしまうようなことは絶対にしてはいけないという気持ちでいっぱいだった。
それに、私以外に投手を育成することで同様の事態を回避することができると思っていたので、投手育成に力を入れるよう心掛けるようになった。


Q.メンバー編成のコツは?

経験者を集めることが強いチームの近道ではあるが、基本的には上手い下手にかかわらず、とにかく野球が好きであること、そして野球を何よりも優先できるメンバーを揃えることが重要だと思う。
野球への意識が低いと参加率が悪くなり、メンバーがなかなか揃わず、試合が組めなくなってしまうからだ。


Q.長く続けられるチームを作るために大事なことは?

それには3つのポイントがあると思っている。

①毎週活動しないこと(頑張り過ぎず、ほどほどにすること)

先に「野球優先」とは言ったものの、家族や恋人と過ごすなど、野球以外のプライベートの時間も大事だと思っている。
だから、うちのチームは、ほぼ練習日は設けずに試合オンリーでやっている。
月に4回しかない日曜日を全て野球に費やすと、野球のプレーそのものにも影響が出てくると思うので、時と場合によるが、基本的には月1.2回しか活動していない。
しかも試合ばかりなので、練習は試合の1時間前に集合して、軽くウォーミングアップする程度にしている。


②チーム運営できるリーダー育てること

チーム運営の仕事は以下のように多岐に渡るため、そういった野球以外のことをしっかりこなせる人、またはリーダー的存在を作ることが大切だ。

1.グラウンドを確保する
2.試合のメンバーを集める
3.試合を組む
4.スコアを管理集計する
5.優秀選手などを表彰する
6.部費を集めて管理する

などだが、いずれもやるとなれば結構面倒で、できれば誰もやりたくないというのが正直なところだろう。
しかし、これは大切なことで、これがしっかりできないチームは長続きしない。
だからこそ各チームの代表の方々もこの点に関しては苦労されているのだと思う。


③常に新メンバー加入を継続すること

メンバーが足りなくて試合が組めず、やむをえずチーム解散という最悪の事態を回避するために、積極的にメンバーを確保することが大事だ。
しかし、あまりやりすぎると、試合に出られない人が増えるので、その点しっかりしたビジョンや考えを持って取り組むことが必要だ。


Q.これから草野球チームを作ろうとしている方にアドバイスするとしたら?

チームを総合的に運営するリーダーとなる人が1人必要だと思う。
但し1人で全てのことをこなすのはたいへんなので、しっかり役割分担を決めて、1人に負担がかからないような配慮が大切だ。
また、チームのモチベーションを保つためにも市町村の連盟に加盟したり、スカイツリーグなどのリーグに所属することをお勧めしたい。
なお、リーダーは最後まで責任を持ってチームを運営し、メンバー全員が野球を楽しめるよう尽力することを心がけてほしい。

チーム作り=人づくり 加藤氏のインタビューから見えてきたもの

10年以上もの間チーム作りに尽力し、そしてチームを支えてきた加藤氏のインタビューはいかがだっただろうか?
一つ一つに重みがあり、かつ説得力があり、そして実に核心を突いているという印象を受けるがどうだろうか?
加藤氏はインタビューで、チーム作りにおける3つのポイントを挙げているが、ここに最重要キーワードが鮮烈に浮かび上がっている。
それは「育てる」ということだ。参加してくる人たちは、当然のごとく草野球を楽しみたいという思いで入ってくるわけだが、その草野球を水面下で支える多くの仕事の存在は知っていて、いずれも大切な仕事とはわかっていながらも、それを積極的かつ意欲的に取り組もうという人は少ない。
なぜならいずれも面倒なことばかりだからだ。しかし、それらがしっかり成されていないと草野球の運営自体が成立しないわけで、そういった裏方の仕事をきっちり行うスタッフの存在は不可欠だ。
また、それらの音頭を取る人、つまりリーダーの存在もなくてはならない。そう、誰かがやらなければならないのだ。
チーム内で屋台骨となりそうな人を見つけて、そういった野球以外の大切なことをきっちりと果たすために力を尽くせる「フォア・ザ・チーム」の精神を育てていくことが何より重要だということになる。

確かにこれらのことは、決して一朝一夕でできることではない。時間がかかることだが、「千里の道は一歩から」ということわざもあるわけで、思い悩んでいるチーム関係者がいるなら、まずはやってみることだ。
ましてや加藤氏が云う「これがしっかりできないチームは長続きしない」わけだから、焦らず諦めず少しずつでもコツコツと積み上げていくしか方法はない。
チーム運営、チーム作りには、どのチームの関係者も苦労されていることだろうが、その特効薬などどこにも存在しないのだ。
また時間がかかり苦労して成し遂げるからこそ価値があり、ゆくゆくはそれがチームの伝統を作り、またチームとしての「勝ち」につながっていくものと思われる。
ちなみにここでいう「勝ち」とは、決して戦績での「勝ち」だけを意味するものではなく、他のチームより優れたプレー環境や雰囲気作りなど、数字に表れない部分の好結果を作り出していくという意味合いでもあると解釈してほしい。

野球のプレーはもちろんだが、野球以外の仕事も協力して楽しんで取り組めるチームこそが、まとまりのある本当意味での「強さ」を持ったチームといえるだろう。
今まで述べてきた加藤氏の取り組みや考え方が、他チームの今後チーム作りを推し進める上での参考となり、またお手本となれば幸いである。

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