[第3回]結成8年目R'z(ルーズ)オーナーに訊く 草野球チームのつくり方とは!?

草野球チームのつくり方 | 2016年7月28日

草野球チーム運営 その裏には。。。

一頃に比べて人気が落ちた、あるいは競技人口が減少したといわれる野球だが、グラウンドでは毎週末になると楽しく白球を追う老若男女の姿が全国各地で見受けられる。
とりわけ草野球は、野球経験者・未経験者、上手い・下手関係なく、誰もが気軽に参加できる「大人たちのコミュニティの場」ともいえる。
が、その一方でチームの運営や、または育成のために、マネージャー、あるいは監督などのスタッフたちはは、水面下では日夜たいへんな仕事をこなしているのも事実だ。
試合ができるだけの人数の確保、あるいはグラウンドの確保、部費の徴収・管理などの経理業務、そしてチーム力向上のためのメンバー増強や育成など、各チームのチーム運営やチーム作りの舞台裏にスポットを当て、シリーズで伝えていく「シリーズ 草野球のチーム作りとは!?」。

3回目の今回は、チーム結成8年のR'z(ルーズ)のオーナー兼プレーヤーである岩永氏に、チーム作りをする上でこれまで腐心されてきたことやエピソード、考え方などについて訊いてみた。

R'z(ルーズ) 岩永氏に直撃インタビュー チーム作りのコツとは?

Q.結成年はいつか?

結成は2009年で、今季で8年目を迎えた。


Q.野球チームをつくるきっかけは?

2006年に当時所属していた会社の飲み会中に「野球したいね」って話になり、社内で有志を募ったのがきっかけだった。未経験者が大半を占め、チーム結成までの3年くらいは年に数回グラウンドに集まって練習とも呼べないような球遊びをしてる感じだった。


Q.存続の危機に陥った年はあったか?またそれは何年目でどんな理由だったか?

2009年のチーム結成直前が最大の危機だったと思う。社内の非公認サークル的な集まりだったので、社外の人間は呼ばない雰囲気だった。そもそも限られた人数しかいなかったところに、転職や幽霊部員化などでメンバーが集まらず自然消滅直前だった。


Q.存続の危機を乗り越えられた理由はなんだったか?

私岩永と、現監督の吉村の2人でチームを存続しようとがんばった。というのも、我々は会社を退職することが決まっていたが、となれば社内サークルである以上、チームを離れなければならない状況だった。
しかし、自分達が野球をする環境がなくなるのは耐えられなかった。それで当時はそれぞれ1メンバーだった我々が、退職前に代表・副代表に就任し、社内サークルを一般の草野球チームに変更した。一般の草野球チームなので社外からもメンバーを受け入れるとして、自分たちが野球ができる環境を作った上で退職したという経緯があった。
また同時期にチーム名の決定、ユニフォーム作成、チーム規約の作成、SNS等を導入し、現体制の基礎を一気に作りあげた。いずれにせよ、私と吉村のどちらか一方でも欠けていたらチーム結成には至らなかったと思う。


Q.メンバー編成のコツは?

メンバーの友達や知り合いで、「チームの空気に合いそうな人がいれば連れてきてくれ」と常々メンバーに言い続けている。ちなみに、まずは体験入部期間として1ヶ月程度一緒にやってもらって、お互いにOKであれば正式に入部としている。
今のところこちらからNGを出した人はいないが、来なくなった人は何人もいる。やはり野球のレベルやチームの空気感に馴染めないなど、いろいろ理由はあるだろうから、それはやむを得ないと思う。


Q.長く続けられるチームをつくるために大事なことは?

メンバーは年を重ねるごとに、結婚や出産、転勤、転職等、個人的な事情で参加率が減少していくが、これはもう避けようがないこと。野球を最優先にする自分みたいのは極稀。通常は野球より家族・恋人・仕事などの方を優先するだろうから、人はいなくなるものと覚悟して、常に新しい血を入れ続けて新陳代謝を図るしかない。


Q.これから草野球チームを作ろうとしている方にアドバイスするとしたら?

チーム運営は大変。それはもう本当に大変で、お勧めはしない。今からもう一度草野球チームを立ち上げろと言われたら全力で拒否する。ただ野球をしたいだけなら既に存在しているどこかのチームにメンバーとして所属するのが一番楽だと思う。

チームを作る際に考えるべきこと、それは「何のためにチームを作りたいのか」だ。1チームだいたい15人~20人で、試合をするとなると2チームで30人~40人。その家族まで含めれば、100人前後の貴重な週末の時間を預かることになるので、しっかりした目的と信念がないと到底無理だ。しかも自身もチーム運営に必要な作業(グラウンドの取得、試合日程の調整、出欠確認、審判手配、成績管理、部費管理、イベント企画等々)で、実際にグラウンドに立ってる時間の数倍の時間をそれらに使うことになる。
何を置いても野球がやりたいという強い思いと、誰に何を言われても自分の考えを貫ける強い心、そして他人の声に耳を傾ける事ができる余裕、さらに何よりも信頼できて助けてくれる仲間。これらが揃わないとなかなか運営は難しいと思う。

R'zは私一人だったらとっくの昔に潰れている。超自己中で気分屋で外面だけはよい私が代表で8年も続けられるている理由は、副代表の吉村がきめ細かいサポートでチーム内をまとめ上げ、キャプテン有原、副キャプテン小林が盛り上げ役を買って出てくれているからに他ならない。チームを作りたいのであれば、まずは信頼できる仲間を探すことが先決だ。野球人として一生を共にしてもよいと思えるくらい信頼できる、うちのチームにはそういった仲間がいるからこそ今まで続けてこれたと思っている。

チーム存続・運営のキーワード、「目的意識」、「信念」、「覚悟」、そして「同志の存在」

チーム創設に寄与し、さらに8年もの長きにわたってチーム運営の最前線で仕事に携わってきた岩永氏。その言葉一つ一つに、理想の裏側にある運営の厳しい現実を垣間見た。実感のこもった話から、これまで相当苦労されてきたことがうかがえる。表向きには優雅に湖畔を進む白鳥だが、その水面下では実は足をバタつかせて、もがいている様の例えそのものだ。

参加者が楽しく野球をやる姿の裏側には、必ず人一倍思考をこらし、人一倍動き、そして人一倍気を配る、こういった人たちの存在がある。とりわけインタビューの中で印象的なのは、参加者以外の周りを取り巻く家族や仲間の時間をも預かっているという意識を持っているということだ。なかなかそこまで考えられるものではない。だからこそ、生半可では運営などできないわけで、まさに彼が述べているように強固な目的意識と信念、そしてリーダーシップが必要になってくるのだ。しかも自分の時間の多くを捧げる覚悟もしかりだ。

さらに岩永氏が繰り返しているのが、副代表の吉村氏というパートナーの存在の大きさだ。人にはそれぞれ得意・不得意があり、性格も違う。岩永氏自身が不得意とするものを吉村氏が補ったり、またキャプテンらがチームを盛り上げるなど、それぞれができる役割を果たし、適材適所が強力に機能していることが良好なチーム運営につながっている。全ては同じ想いを持った同志の協力があってこそのことである。人間一人では無力だ。だからこそ、そういった信頼のおける同志を見つけることが先決だという岩永氏の言葉には強い説得力を感じる。

野球チームの運営は、「楽しい」、ただ「好きだ」というだけではなかなかできるものではないことをインタビューからも改めて実感できる。また、その人に勧めたくないほどのたいへんさも伝わってくるが、こと自チームを長きにわたって存続させるという点からみれば、いずれそのたいへんな運営を任さる後継者を考える時期が必ずやってくるのも事実だ。インタビューではその件について触れてはいないため、そのことについての岩永氏の考えや今の状況を推し量る材料はないが、いずれにせよ後継者もしっかり育てて、10年、20年と長きにわたってR'zというチームが続いていくことを切に願いたい。

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