日本橋裏本町軟式野球部・市道 仁(3) | 2018年10月2日
草野球チームの成り立ちや歴史を紐解く、俺たちの草野球史シリーズ第一回は日本橋裏本町軟式野球部
日本橋裏本町軟式野球部は、2016年にスカイツリーグに初参戦し、去年の成績はIKI・Dグループ3位。中央区日本橋を本拠とする今年で参戦3年目のチームだ。現在、IKI・Aリーグの4位につけている。
今回はそんなチームの成り立ちを、駆けつけ一杯的に紹介しよう。
「草野球をやりたそうな顔をしている」
そんなことを、通りすがりの人、コンビニの店員、なじみのガソリンスタンドのオヤジ、あるいはかかりつけの医者やバスの運転手などに指摘されたことはないだろうか。まるで先祖代々の呪縛霊がついてますね、などと怪しい目つきの自称霊媒師に言われるように。
指摘された途端、「いや、特に」と首を振るのだが、内心動揺を隠せず、自分の本音を見透かされたような気がして、飲んでいたスタバのコーヒーがこぼれるの何のって。突然のことでその場は慌てて否定した。だが、何かが引っかかっる。その思いは帰宅後も消えない。
風呂から上がり、濡れた髪をドライヤーで乾かしていると、ふと、洗面所の鏡に映る自分の顔に気づく。今まで数十年ほど見続けてきたいつもの代わり映えのしない顔だ。最近抜け毛の多くなった髪はともかく、目と鼻と口があって、眉毛だとか、睫毛だとかもある。顔の両端についているのは耳だ。
今更どうということもない。何度見ようが、変わらない。明日もこの顔をぶら下げて出かけていくのはわかっている。
そのとき、日中の出来事がよみがえってくる。
「オレって、そんなに草野球やりたそうな顔してんのかな―」
そう何となく思ったら、最後だ。夕食時、毎食欠かさないゆで卵が、軟式ボールに見えてしょうがない。縫い目まで鮮やかに浮き上がってくるかのようだ。ああ、お気に入りの輪島塗の箸が金属バットに、こんもり盛られたごはんがピッチャーマウンドに、ニトリのテーブルまでもがホームベースに見えてくる―。
かつてグランドで流した涙がふっと心に浮かんでくる。
「どうしたの、あなた。なんか今、すごく草野球やりたそうな顔してるわよ」
向かい合ったいつもの妻が、キャッチャーマスク越しに、そう呟く。
日本橋裏本町軟式野球部の奥田 和馬(11)
「草野球したいね~」
その人物が「草野球をやりたそうな顔」をしていたかどうかはわからない。ともかく、日本橋裏本町軟式野球部は、とある居酒屋での常連客の何気ないこの一言から始まった。
その一言は、「何気なく」では終わらなかった。
まずその居酒屋で鉄腕を振るう料理長のハートを射抜いた。元々、高校球児の彼のことだ。話に乗らないはずはない。眠れる野球熱はてんぷら鍋のごとく再燃した。さらにその居酒屋の下にある日本酒専門店の利き酒師にとっても、朗報だった。ブランクがあるとは言え、彼はその昔、草野球と縁を持った人物だった。
こういう流れは、壁を越えてテレパシーのように各方面へ伝わるものだ。裏の居酒屋の店主がこれに呼応した。彼もまた、少年野球経験者だった。
新しく草野球チームができるらしい、というビックニュースは、飲み屋街一帯に瞬く間に広がり、周囲を巻き込んで一大プロジェクトとなった。
気づけば、こんな声が次々と湧き起こっていた。
「俺も!」
「おれも!」
「オレも!」
彼らの多くは野球熱や愛を押し殺すか、忘れたふりをして毎日を過ごしていた。
もうそんな日々はまっぴらごめんだ。浴びるように酒を飲んでも、時間を忘れ白球を追いかけていた熱い記憶が胸に焼きついている。
草野球難民とでも言うべき彼らを救う器が何より必要だった。
実際に新チームが結成されるまでには、それほど時間はかからなかった。彼らの草野球に対する思いの強さ、飢餓感の表れだろう。
彼らの棲息エリアは日本橋本町の飲み屋街だった。そこは通称『裏本町』とも呼ばれる場所だった。その名にちなんで、チーム名も決まった。
こうして、飲み屋街で仕込まれ、産湯は熱燗、日本橋裏本町軟式野球部は「オギャー!」の代わりに「プレイボール!」と産声を上げたのだった。
試合を終えて整列する日本橋裏本町軟式野球部
チーム結成のいきさつからわかる通り、仲の良い居酒屋店主たちとその各店の常連たちを中心に、かなりアルコール度数の高いメンバー構成になっている。
上は44、下は24。何のことはない。これは年齢層のことだ。完全夜型人間の集まりなのは言うまでもないことだろう。
夜は白眼むくまで飲んだくれ、昼は白球を夢中で追いかける。草野球を始めることで、そんな実際にパッキリと音が聞こえるほど、メリハリのある生活も可能になった。喜ばしいことじゃないか。
「いらっしゃい」と丁重に迎えていた店主が、常連客に強烈なノックをかます。「なんだ、しっかり捕れよ!コノヤロー!」などと爆笑しながら叫んだりできる。ときに年齢などもボーダーレス、白球を前にすればみな平等だ。
今や、チームは単なる草野球仲間という枠を越えるようにもなっていた。結成当時は独身者だった選手が結婚したり、家族ぐるみのつき合いに発展するようにもなった。対戦相手と酒を酌み交わし、プロ野球観戦に一緒に行ったりもする。ビジネスベースボールではなく、生活の中で、草野球とその仲間たちが、前割り焼酎のようにまろやかになじんでいるのだろう。それはある意味、草野球の理想の形の一つかもしれない。
一期一会は、出会いのかけがえのなさを意味する。同じことは、酒と草野球についても言える。
昼の草野球と夜の酒が出会う。昼が夜に溶け込んで、始まりの一杯に注がれる。それからはきっと、笑いっぱなしだ。
草野球を通して、彼らはさまざまな人たちと出会った。目には見えないが、かけがえのないものを手に入れた。それは逐一、手に取って眺めるようなものではなく、ふとしたとき、心に浮かんできては噛み締める類のものなのだろう。例えば、ほろ酔い加減の帰り道なんかに。
常連客のあの一言がなければ、えげつない下ネタで爆笑しあう目の前の仲間たちとも、お互い知り合うことすらなく、一生を終えたかもしれない。
当たり前だと思っていることが不思議の上に成り立っている。そのことに気づくとき、世界は今までと違った顔を見せてくれる。
「草野球をやりたそうな顔をしている」
街角で、駅のホームで、高層ビルのエレベーターで、その顔にピン!ときたら、知らない人だろうが、声をかけてみるのもいいかもしれない。そして、もし声をかけられた人があるなら、思いきって始めてみてはどうだろうか。日本橋裏本町軟式野球部のように、その先に、グランドをはるか越えていく世界が待っているかもしれないのだから。
実際に始めてみれば、予想以上に足がもつれたり、肩を脱臼したり、左膝前十字靭帯断裂したり、筋肉痛で翌日動けなくなったりして、つらいことも多いかもしれない。けれど、そんなことがあっても、もたらされる喜びは大きい。仕事後より、試合後の一杯のほうが確実に、うまい。草野球を始めた彼らの顔を眺めていると、そう断言したくなるのだ。
日付 | 対 戦 | 勝 敗 | 登 板 | イ ニ ン グ | 自 責 点 | 失 点 | 奪 三 振 | 与 四 球 | 与 死 球 | 被 安 打 | 被 本 塁 打 | 暴 投 | ボ | ク | 詳細 | |
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登板情報はありません。 |
日 付 | 対 戦 | 守 備 | 打 順 | 打 撃 成 績 | 打 点 | 得 点 | 盗 塁 | 盗 失 | 失 策 | 美 技 | 詳 細 |
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2018年11月11日 | 対 Albatross(●3-11) | 二 | 5番打者 | - 三振 - ア飛 - アゴ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 詳細 | |
2018年09月09日 | 対 ラッキースターズ(△3-3) | 二 | 2番打者 | - 安打 - 安打 - ア飛 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 詳細 | |
2018年07月08日 | 対 PATRIOTS(●6-4) | 二 | 2番打者 | - 四球 - アゴ - 三振 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 詳細 | |
2018年05月27日 | 対 吉原オールディーズ(●7-13) | 一 | 8番打者 | - アゴ - アゴ - 安打 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 詳細 | |
2018年05月13日 | 対 チームフミハナ(○5-12) | 一 | 14番打者 | - 安打 - 四球 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 詳細 | |
2018年04月22日 | 対 L.spirit(●17-2) | 一 | 9番打者 | - 三振 - ア飛 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 詳細 | |
2018年02月18日 | 対 Abends(●4-6) | 一 | 2番打者 | - アゴ - アゴ - アゴ - アゴ | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 詳細 |
1位
C.C.Nationals
66大森
ツボにはまれば長打を打てる捕手で第2代C.C.Nationals新人王受賞(近藤と同時受賞)
2018の大半をカナダへ留学(もとい、MLB観戦旅行)していた。
一時期から体
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2位
Brains
30大沼
■スカイツカントクJAPANメンバー(#BRAINS 0)
■三鷹市軟式野球連盟「ブルーパーズ」(2003~2005)、杉並区軟式野球連盟「オールマックス」(2005~2007)、豊島区
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3位
ギャルソンジャイアンツ
4ズッシー
年に1度、芯で打った時の飛距離はチームNo.1のスラッガー。オレンジ色の木製バットにこだわりを持ち、毎年買い替えて愛用しているが、チームメイトからはビヨンドを使えばすぐに4番を打てるのに…と陰口を叩か
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8位
大田ブルーウェーブ
1森本遥斗
色気のあるプレーで多くの女性を魅了する走攻守三拍子揃った天才イケメンエース!昨年は投手三冠に輝き、打撃では不動の3番として君臨し華麗な遊撃守備を披露。すっかりクズ男キャラになってしまう。
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受賞選手
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